海外の飲食店で働くのは夢ではありません。現実に多くの日本人料理人が世界各地で腕を振るい、高い評価を得ています。
日本最大級の料理人プラットフォーム(登録者8,000人超)によるアンケートでは、将来的に海外でのキャリアに興味がある料理人が91%にも達し、さらに52%が1年以内の海外勤務を検討していると回答しています。
料理人の海外志向は非常に高まっているのです。
また、農林水産省の調査によると海外の日本食レストランは急増しており、2006年時点では約24,000店舗だった店舗数が、2013年には55,000店舗まで増加しています。
日本人が海外で働けるチャンスは増え続けているといってよいでしょう。
この記事では、海外の飲食店で働きたい料理人の方に向けて、具体的な職種、メリット・デメリット、仕事の探し方、必要なスキルなど、海外就労の全体像を実用的な視点から解説します。
あなたの海外キャリアへの第一歩をサポートする情報をお届けします。
参考:農林水産省-海外における日本食レストラン数の調査結果(令和5年)の公表について
日本人が働ける海外の飲食店の種類とは

日本人でも海外の飲食店で働くことはできます。
和食やラーメンなどの専門性を武器に、世界中の現場で活躍する料理人が増えています。
ここでは代表的な活躍の場と職種を紹介します。
- 寿司職人・和食調理師
- ラーメン職人
- プライベートシェフ
- カフェ・スイーツ系の店
寿司職人・和食調理師
和食の世界的な人気の高まりに伴い、寿司職人や和食調理師の需要は非常に大きくなっています。
ミシュラン星付きの高級寿司店から現地資本の日本食居酒屋まで、さまざまな業態で日本人料理人が求められています。
経験者であれば好待遇を得やすく、未経験でもアシスタント枠として採用されるケースもあります。
特に中東や欧米では、ビザ支援付きの求人も多く見られます。
例えば「Robata・JINYA アメリカ」ではアメリカでの炉端焼きレストランやラーメンチェーンを運営しており、日本人スタッフを募集しています。
また、「Sushi 粋 -iki-」は日本人の寿司職人がモロッコでオープンさせた寿司屋で、今やモロッコで1番の寿司屋とも呼ばれています。
このように海外の和食店や寿司料理のお店で働くという選択肢もあります。
海外で働く寿司職人の実情などを解説した記事も参考にしてください。

ラーメン職人
海外でのラーメン人気は近年爆発的に高まっており、ニューヨーク、パリ、ドバイなど世界各地で日本の有名店が出店したり、現地資本のラーメン店が増加したりしています。
調理・接客の経験があれば採用のチャンスは広く、月収も日本より高水準のケースが少なくありません。
シンガポールなどアジア各国で展開する「味仙ラーメン」では、日本人が現地で調理やマネジメント業務に携わっている実例があります。
日本国内での経験を活かし、現地スタッフと協力しながら日本食の提供に取り組んでいます。
プライベートシェフ
富裕層家庭に出向いて調理を担当するプライベートシェフという働き方も、中東、東南アジア、欧州などで需要があります。
報酬が高い反面、料理力に加えて語学力、マナー、柔軟な対応力も求められる仕事です。
日本人は細やかな気遣いができて真面目、清潔という良いイメージがあるので、わざわざ日本人を雇いたいという富裕層も少なくありません。

カフェ・スイーツ系の店
パティシエやカフェシェフとしても、ホテルレストランや日系カフェなどで活躍の場があります。
特にバンコクやパリでは、和のデザートや抹茶スイーツの人気が高まっています。
たとえば、アメリカ・ハワイ島の「OLU’OLU BAKERY」、ドイツ・デュッセルドルフの日本人オーナーによる抹茶ブランド「WAKABA」、京都発のコーヒーショップ「Kurasu」(シンガポール、香港に展開)などでは、日本人スタッフも活躍しています。
バリスタやカフェ運営に携わる機会もあります。
海外の飲食店で働くメリット

海外勤務には「スキルアップ」「キャリア形成」「人生経験の広がり」など多くの利点があります。
ここでは、働くことで得られる代表的なメリットを紹介します。
- 日本より高収入を得られる可能性がある
- 現地の食文化を学ぶことができる
- 帰国後のキャリアアップに有利になる
- 異文化環境で人間的に成長できる
- 料理スキルや視野が広がる
日本より高収入を得られる可能性がある
特にドバイや欧米の高級店では、日本よりも給与水準が高い求人も少なくありません。
住宅手当、まかない、チップ込みの待遇で、年収が1000万円を超えるケースもあります。
実力次第で収入を大きく伸ばせる環境があるのは、日本の年功序列型の給与体系と比べて大きな魅力といえるでしょう。特に和食やすし職人など、専門性の高い職種では高収入を期待できます。

現地の食文化を学ぶことができる
その国ならではの食材や調理法、接客スタイルを直接体験できるのも大きな魅力です。
海外の味覚に合うメニュー構成や提供スタイルを学べば、帰国後の店舗運営にも活かせます。
世界で通用する料理人を目指すなら、現地での学びは大きな財産になるでしょう。
現地の市場で見たことのない食材と出会ったり、新しい調理技術に触れたりする機会は、料理人としての引き出しを大きく広げてくれます。
帰国後のキャリアアップに有利になる
「海外勤務経験」は企業や飲食グループの採用時に高く評価される傾向にあります。
日本だけで働いている料理人との差別化もできるでしょう。
語学力、リーダー経験、国際感覚が武器になり、マネジメントや商品開発の道も広がります。
独立を目指す場合でも「海外で働いていた」というブランドは強力な後ろ盾となります。
異文化環境で人間的に成長できる
海外生活では、日本では当たり前のことが通用しない場面も多く経験します。
そんななかで自分の意志で働き、暮らし、結果を出すことは、大きな自信につながります。
料理以外の力も磨けるのが、海外勤務の隠れた魅力といえるでしょう。
異なる文化や価値観を持つ人々と一緒に働くことで、コミュニケーション能力や柔軟性、問題解決能力なども自然と身についていきます。

料理スキルや視野が広がる
海外では料理もビジネスという側面が強く、日本のように職人としての技術一辺倒ではなく、スキルとビジネス的な考え方を同時に学べる可能性があります。
合理的な経営手腕などが学べるので、料理スキルと同時にビジネス的な視野も広がるのがメリットです。
将来独立や経営を考えている方にとっては、非常に貴重な経験となるでしょう。
海外の飲食店で働くデメリットと注意点

魅力が多い一方で、海外勤務には特有の課題もあります。
働く前に知っておきたい注意点をまとめました。
- 生活コストが高い国もある
- ビザ取得のハードルがある
- 法的リスクと契約トラブルの回避法
- 帰国後のキャリアプランも考えておく重要性
- 孤独や文化ギャップに悩むことがある
生活コストが高い国もある
給料が高くても生活コストも高い国では、実質的な生活水準は日本と変わらないケースもあります。特に近年の円安傾向も影響しています。
最も大きいのは住居費で、アメリカ・ニューヨークなどでは普通のアパートでも月額60万円以上の家賃がかかることもあります。
安い物件を選ぶと治安の悪いエリアになりがちで、ディナータイムに働くことが多い料理人にとっては危険な場合も。
そのため、ある程度のセキュリティが確保された住居を求めると賃料も高くなりがちです。
また、食べ歩きなど修業にかかる費用も想定しておく必要があるでしょう。
ビザ取得のハードルがある
国によっては飲食職の就労ビザ取得条件が厳しい場合もあります。
必要書類や職歴証明が多く、手間と時間がかかることも想定しておくべきでしょう。
特にアメリカやイギリスなど厳格な移民政策を取っている国では、飲食業のビザ取得は難しいケースもあります。雇用主からのサポートがあるか事前に確認することが重要です。
法的リスクと契約トラブルの回避法
海外で働く際には、日本とは異なる労働法制や契約慣行に注意する必要があります。
契約書の細部まで確認せずにサインしてしまい、あとでトラブルになるケースも少なくありません。
特に重要なのは、労働時間、残業代、休暇、解雇条件などの労働条件です。
可能であれば契約書を日本語に翻訳してもらうか、現地の日本人コミュニティや専門家に相談することをおすすめします。
また、契約内容に不明点がある場合は、必ず事前に質問して明確にしておきましょう。
帰国後のキャリアプランも考えておく重要性
海外での経験を積んだあと、日本に帰国した際のキャリアパスについても前もって考えておくことが大切です。
せっかく海外で得た経験や技術を活かせる場所を見つけられず、帰国後にキャリアの停滞を感じる人も少なくありません。
海外で働く前から、帰国後にどのような仕事を目指したいのか、その経験をどう活かすのかを想定しておくと、より戦略的にスキルを磨くことができます。
また、日本国内の業界動向についても定期的にチェックしておくことで、帰国のタイミングも適切に判断できるでしょう。
孤独や文化ギャップに悩むことがある
言語や価値観の違いによって、職場での孤立やホームシックを感じる人もいます。
ストレスマネジメントと、現地に頼れる人脈づくりがカギになるでしょう。
特に一人で渡航する場合は、日本人コミュニティとのつながりを作っておくと心強いものです。
SNSや在外日本人会などを活用して、現地の情報や交流の機会を積極的に探すことをおすすめします。
海外の飲食店で働く方法

渡航前にしっかりとした求人情報を集めることが成功の第一歩です。
ここでは主な探し方を紹介します。海外の飲食店で働く主な方法としては、以下のようなものがあります。
- 求人サイト・検索エンジンを活用
- 和食・寿司に強い転職エージェントに相談
- 人脈を使って修行先を探す
- 飛び込みで海外の飲食店で働く
求人サイト・検索エンジンを活用
求人サイトや検索エンジンを使えば、海外の飲食店で働きたい料理人向けの求人が見つかります。
条件や語学力で絞り込みが可能で、定期的にチェックすれば非公開案件も見つかるでしょう。
なかには渡航費用を負担してくれる求人などもあるので、さまざまな求人サイトをチェックするのがおすすめです。
もちろん海外のレストランだけでなく、日本企業の海外展開の求人を探すのも有効な手段の1つです。海外に進出する際の料理人募集に応募すれば、住居費などを負担してもらえる可能性もあります。
ただし基本的に日本食のレストランなので、現地の料理を作るというプロセスはないことが多い点に注意しましょう。
和食・寿司に強い転職エージェントに相談
日本人料理人向けに特化したエージェントも増えています。書類の翻訳、ビザ取得支援、住居探しなども一括で相談できるのがメリットです。
専門エージェントは海外の飲食店との太いパイプを持っていることが多く、自分では見つけられない求人情報を提供してくれる可能性もあります。また、実際に現地で働いた日本人の体験談や注意点なども聞けるでしょう。

人脈を使って修行先を探す
フレンチやイタリアンの料理人に多い方法で、シェフから海外留学先を紹介してもらうケースがあります。信頼関係のある師匠や先輩がいれば、海外の知り合いを紹介してもらうルートを探ってみるのも一つの方法です。
直接的な紹介は、互いの信頼関係のうえに成り立つため、受け入れ側も安心でき、働き始めてからもスムーズに環境に馴染める可能性が高いでしょう。
飛び込みで海外の飲食店で働く
海外に渡航してから現地で仕事を探す方法もありますが、あまりおすすめできません。
かなりフットワークが軽い人、コミュニケーション能力が高い人、海外慣れしている人のみ可能な選択肢といえるでしょう。
ビザの問題や住居の確保、収入が安定するまでの生活費など、リスクが非常に大きいため、余程の自信と準備がない限りは避けた方が無難です。
海外の飲食店で働く際の必要なスキル・語学力とは

海外の飲食店で働くにあたって、必須のスキルや語学力について解説します。
- 基本的な調理に関するスキルは必須
- 調理師免許があるとビザ申請に有利
- 日常会話レベルの語学力は必要
基本的な調理に関するスキルは必須
海外は実力主義の傾向が強く、実力があれば仕事が見つかりますが、そうでなければ仕事に就くことは難しいでしょう。基本的な調理スキルは必須条件となります。
まれに「海外で料理を覚えたい」という人もいますが、よほど若く言語力があるなどの条件がなければ、就職自体が厳しいのが現実です。
まずは日本国内である程度の実力をつけてから海外に挑戦することをおすすめします。
調理師免許があるとビザ申請に有利
調理師免許は必須ではありませんが、ビザの申請時に有利となることが多いです。
多くの海外就職を目指す方は持っている人が多いと思いますが、取得できるなら取っておくことを推奨します。
公的な資格は「専門技術を持つ人材」としての評価につながり、ビザ審査がスムーズに進む可能性が高まります。また、雇用主にとっても採用の判断材料となるでしょう。
日本の調理師免許が海外で通用するかどうかについては、こちらの記事をご覧ください。

日常会話レベルの語学力は必要
海外の日系料理店だと日本人がいるので英語が話せなくてもOKな場合もありますが、基本的に日常会話レベルの現地語ができた方が良いでしょう。
料理の指示なども現地の言葉で飛んでくるので、それが聞き取れないと仕事にならないケースもあります。
もちろん現地で徐々に覚えていく方法もありますので、語学研修ありの仕事を探すのもおすすめです。
また、料理に関する専門用語だけでも事前に勉強しておくと、現場での適応がスムーズになるでしょう。
必要な語学レベルは、職種や役職によって違います。
ここでは英語を例として、必要な語学レベルをまとめました。
- キッチンスタッフ(補助・調理)
- 基本的なコミュニケーションができれば採用されるケースもあり、TOEICで400〜600点程度が目安です。
文法が正しくなくても、単語を並べて会話できれば対応できます。
- 基本的なコミュニケーションができれば採用されるケースもあり、TOEICで400〜600点程度が目安です。
- ホールスタッフや現地スタッフとの連携が多いポジション
- 日常会話がスムーズにできる「中級(Intermediate)」〜「中上級(Upper Intermediate)」レベルが望ましく、TOEIC650〜750点、IELTS4.0〜6.0程度が求められます。
- マネージャーや料理長など責任あるポジション
- ビジネス英語レベル(TOEIC750点以上、IELTS6.0以上)が必要とされる場合が多いです。
海外の飲食店で働きたい人向けのよくある質問
海外の飲食店で働きたい人が抱くよくある質問と回答を用意しました。
- 海外で働く料理人の年収や待遇について教えてください。
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業態によって年収は大きく変わります。特に寿司職人や和食シェフなどは重宝され、1,000万円以上の年収を得ることもあります。ただし、国や地域、店舗のグレードによっても大きく異なるため、一概には言えません。
住居手当や航空券支給、まかない付きなど、給与以外の福利厚生も含めた総合的な待遇を確認することが大切です。
- 海外の飲食店で働きたいのですが、どの国がおすすめですか?
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日本人が多いのは東南アジア、アメリカ、ニュージーランド、ドバイなどです。日本人コミュニティも存在するため馴染みやすい環境といえるでしょう。
ただし、フレンチを学びたいなど料理ジャンルにもこだわりがあるなら、その本場となる国に行って学ぶのがベストです。自分の目標や学びたい料理スタイルに合わせて国を選ぶことをおすすめします。
料理留学や修行におすすめの国については、こちらの記事で紹介しています。
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簡単な英語での会話くらいはできた方が良いので、渡航前に基本的な会話表現は学んでおくことをおすすめします。細かいことは現地で学べますし、翻訳アプリを使うこともできます。
ただ、料理の現場ではスピードが求められるため、いちいちアプリを使って意思疎通を図る余裕はないでしょう。少なくとも料理に関する用語や基本的な指示は理解できるよう、先に覚えておくと良いでしょう。
まとめ
海外の飲食店で働くことは、あなたの料理人としてのキャリアを大きく広げるチャンスです。和食やラーメンなどの日本食の専門性を武器に、世界各地で活躍の場が広がっています。高収入の可能性、幅広い食文化との出会い、キャリアアップへの足がかりなど、多くのメリットがあります。
一方で、生活コストの高さやビザ取得の難しさ、文化の違いによる戸惑いなど、乗り越えるべき課題もあることを理解しておく必要があります。海外就労を成功させるには、基本的な調理スキルはもちろん、ある程度の語学力、そして異文化に適応する柔軟性も求められます。
海外の飲食店で働きたい方は、求人サイトやエージェントを活用して情報収集し、自分のスキルと希望に合った職場を見つけることが第一歩です。準備を整えて挑戦すれば、グローバルな視野と経験を持つ料理人として、より輝かしいキャリアを築くことができるでしょう。
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