料理人としてのキャリアを積んでいくなかで、多くの人が通過点もしくは目標とするのがスーシェフというポジションです。シェフ(料理長)の右腕として厨房を支える重要な役割でありながら、その待遇や仕事内容については意外と知られていません。
実際のところ、スーシェフの年収はどれくらいなのか、また、そのポジションでどのようなスキルが求められ、将来的なキャリアパスはどう描けるのかが気になる方も多いでしょう。
本記事では、飲食業界における縁の下の力持ちとも言えるスーシェフについて、その役割から年収相場、キャリアアップの可能性まで詳しく解説します。
2番手として現場を支えながらも、自分の市場価値を高めていくためのヒントも併せてご紹介します。
スーシェフとはどんな役職か

スーシェフは、フランス語で副料理長を意味し、料理長(シェフ・ド・キュイジーヌ)の次に位置する厨房内の役職です。日本では単に副料理長や2番手と呼ばれることもあります。
料理長の右腕として、スーシェフは日々の調理業務はもちろん、スタッフの指導や厨房の管理といった幅広い役割を担います。特に実務と管理業務の両方をこなすという点で、純粋な技術職でもなく、完全なマネジメント職でもない中間的なポジションであることが特徴です。
多くの場合、スーシェフは料理長不在時の代行者として現場を仕切ったり、料理長の指示を現場スタッフに落とし込んだりする役割も果たします。そのため、上からの指示を理解して実行する能力と、下の調理スタッフをまとめ上げるリーダーシップの両方が求められます。
また、独立志向が強い職人タイプよりも、組織のなかでの成長を目指すタイプの料理人に向いているポジションといえるでしょう。キャリアパスとしては、スーシェフの経験を積んだあとに料理長へと昇格するか、または他店に料理長として転職するというルートが一般的です。

スーシェフの主な仕事内容

スーシェフは現場の統率者として、実務からマネジメントまで幅広い業務をこなします。料理長が店舗運営や新メニュー開発などの業務に集中している間、日々の厨房オペレーションを支える要となるのがスーシェフの役割です。
具体的な仕事内容を見ていきましょう。
- 調理・盛り付け・仕込みなど実務
- 厨房内の進行管理と人材育成
- 料理長との連携・品質管理
調理・盛り付け・仕込みなど実務
スーシェフの基本的な仕事は、自らが厨房に立ち、高いレベルの料理を提供することです。特に多くの店舗では、料理長よりも実際に調理する時間が長いのがスーシェフの特徴です。
日々の仕込みから調理、盛り付けまで、全工程に関わりながら料理の品質を維持します。同時に後輩スタッフの手本となるよう、正確かつスピーディーな作業が求められます。特に繁忙時には自らがメインポジションに立ち、率先して調理をリードすることも多いでしょう。
また、料理長が考案した新メニューを実際の現場で再現できるよう、レシピの標準化や調理スタッフへの指導も重要な業務です。料理長のビジョンを形にするための技術的なサポート役としての側面ももっています。
厨房内の進行管理と人材育成
スーシェフは厨房内のムードメーカーとしての役割も担います。具体的には、厨房内の各ポジションの進行状況を把握し、料理の提供タイミングを調整したり、スタッフの配置を臨機応変に変更したりする判断が求められます。
また、新人や若手スタッフの育成も重要な仕事です。調理技術の指導はもちろん、厨房内での立ち振る舞いやプロとしての心構えを教えることも多いです。料理長よりも現場に近い立場から、スタッフの成長をサポートします。
特に繁忙期やトラブル発生時には冷静に状況を判断し、厨房全体をコントロールする役割を担います。スタッフからの信頼を得ながら、チームワークを高める役割も重要です。
料理長との連携・品質管理
料理長との密な連携も、スーシェフの重要な仕事です。料理長が考える料理の方向性や店舗のコンセプトを理解し、それを日々の調理業務に反映させる橋渡し役を担います。
また、料理長不在時には実質的に厨房の最高責任者となるため、お客様からのフィードバックに対応したり、トラブルシューティングをおこなったりすることも必要です。
品質管理の面では、調理スタッフが作る料理の味や見た目をチェックし、一定の水準を保つよう指導します。料理の提供スピードや温度、盛り付けの美しさなど、お客様の満足度に直結する要素を管理するのもスーシェフの役割です。

スーシェフの年収相場

スーシェフの年収は、勤務する店舗の規模や業態、地域、自身の経験や能力によって大きく異なります。一般的な傾向として、料理長よりは低く、一般調理スタッフよりは高い年収設定となっています。
ここでは、業界での一般的な相場と、業態別の違いについて解説します。
- ホテル・ブライダル系の高給与帯
- 地方・個人店などの標準帯
- 有名店・高級店のキャリアパス型
スーシェフの年収は300〜600万円
スーシェフという役職に特化した公式統計はありませんが、求人サイトや業界関係者の情報を総合すると、年収相場は300万円〜600万円の範囲に分布しています。
平均的な年収は300万円〜400万円程度で、月給に換算すると25万円〜30万円が多いようです。これに各種手当や残業代、賞与などが加わる形となります。
勤務年数や店舗の売上規模によって上下する傾向があり、経験豊富なスーシェフや有名店で働くスーシェフの場合は、年収500万円を超えるケースも少なくありません。
また、飲食業界では一般的に都市部と地方で給与格差があり、東京や大阪などの大都市圏のほうが年収は高い傾向にあります。地方都市の中小規模店舗では、スーシェフでも年収300万円前後という例も珍しくありません。
業態によって異なるスーシェフの年収
スーシェフの年収は、勤務する業態によって大きく異なります。
一般的な業態別の年収幅は以下のとおりです
| 業態 | 年収幅 |
|---|---|
| ホテル・ブライダル | 400万~550万円 |
| 地方レストラン | 300万~350万円 |
| 有名店・オーベルジュ | 450万~600万円 |
ホテルやブライダル施設では、組織体制がしっかりしており、役職に応じた給与体系が確立されていることが多いため、比較的安定した年収が期待できます。特に外資系ホテルやラグジュアリーホテルでは、スーシェフでも500万円前後の年収が一般的です。
一方、個人経営の小規模店舗や地方のレストランでは、年収300万円前後という場合も少なくありません。しかし、有名シェフのもとで働く経験を積めるなど、将来的なキャリアアップのための経験値を重視する場合もあります。
有名店やミシュラン星付きレストラン、高級オーベルジュなどでは、技術とマネジメント能力の両方が評価され、年収500万円以上も十分に可能です。特に料理長への昇格が見込める優秀なスーシェフには、それに見合った待遇が用意されることもあります。

スーシェフに求められるスキルとは

スーシェフという役職は、単なる調理技術だけでは務まりません。料理長と現場スタッフの間に立ち、両者の橋渡しをする役割であるからこそ、バランスの取れたスキルセットが求められます。
具体的にどのようなスキルが必要なのか見ていきましょう。
- 高い調理スキルとスピード感
- 現場マネジメント力
- コミュニケーションと信頼構築力
高い調理スキルとスピード感
スーシェフとして最も基本となるのは、やはり高い調理技術です。料理長に次ぐポジションとして、どのような料理も安定して提供できる技術力が求められます。特に厨房内では速くて上手いことが当然の前提となります。
一般的なラインスタッフとの違いは、複数のポジションを同時に担当できる応用力にあります。魚担当、肉担当、ソース担当など、さまざまなセクションの仕事を理解し、必要に応じて誰のポジションにも入れる柔軟性が求められます。
また、料理長が考案したメニューを忠実に再現する力も重要です。レシピを見ただけで完成形をイメージし、現場スタッフに的確な指示を出せるようになるには、豊富な経験と知識が必要です。
さらに、食材の扱いや調理器具の使い方など、基本的な技術を若手スタッフに伝えられる言語化能力も求められます。

現場マネジメント力
スーシェフには、現場を円滑に回すためのマネジメント能力も不可欠です。具体的には、各スタッフの能力や特性を把握し、最適な役割分担をおこなう『人員配置力』や、繁忙時にも落ち着いて全体を見渡せる『状況判断力』が求められます。
また、料理長の意図をくみ取り、それを現場スタッフに分かりやすく伝える翻訳者としての役割も担います。料理長が描く店舗やメニューのビジョンを理解し、日々の業務に落とし込む能力は、スーシェフならではの重要なスキルです。
さらに、後輩スタッフの成長を促す育成力も必要です。単に技術を教えるだけでなく、モチベーションを高めたり、適切なフィードバックをおこなったりすることで、厨房全体のレベルアップを図ることができます。
コミュニケーションと信頼構築力
スーシェフは、料理長と現場スタッフの間に立つ板挟み役となることも多いため、高いコミュニケーション能力が必要です。上からの指示を理解し、下には分かりやすく伝える能力や、ときには厳しい状況でも冷静に対話できる精神力が求められます。
厨房内のムードメーカーとしての役割も重要で、緊張感のある現場でもポジティブな雰囲気を作り出せるリーダーシップが評価されます。
一人で突出するタイプよりも、チーム全体の調和を重視し、皆が働きやすい環境を整えられる人材が長く活躍できるでしょう。
また、料理長や店舗経営者からの信頼を得ることも重要です。経営的な視点をもち、コスト意識や効率性を考慮した運営ができるスーシェフは、将来の料理長候補として評価されることが多いです。
スーシェフの年収を上げるためにできること

スーシェフという立場でも、スキルアップや戦略的なキャリア選択によって年収アップの道は開けています。2番手という立場でも、適切な選択と努力次第で収入を大きく伸ばすことは十分可能です。ここでは、スーシェフの年収を上げるための具体的な方法を紹介します。
- 高級店・ホテルなど待遇が良い職場を狙う
- スーシェフから料理長への昇格を目指す
- 海外での勤務経験を活かす
高級店・ホテルなど待遇が良い職場を狙う
年収アップを目指すなら、勤務先の選択は非常に重要です。特に高級レストランや一流ホテル、特に外資系ホテルでは、スーシェフであっても500万円以上の年収設定が一般的です。
コース料理中心のレストランでは、一品一品の完成度が重視され、それだけ腕の良いスーシェフの価値も高くなります。また、ホテルレストランでは、安定した労働環境と明確なキャリアパスが用意されていることが多く、長期的な収入アップが期待できます。
特に外資系ホテルでは、実力主義の評価システムが導入されていることが多く、年功序列ではなく能力に応じた昇給が見込めます。さらに、ホテル内の他部門との連携経験は、将来的に料理長や調理部長といったより上位のポジションを目指す際にも有利に働くでしょう。
スーシェフから料理長への昇格を目指す
最も直接的な年収アップの道は、スーシェフから料理長へと昇格することです。料理長になれば、年収は一般的に100万円以上アップする可能性があります。
昇格を目指すためには、まず現場での実績を積み重ねることが重要です。安定した調理技術はもちろん、スタッフからの信頼を得て、厨房全体をまとめ上げる力を示すことで、経営層からの評価も高まります。
また、メニュー開発や原価管理など、料理長に必要なスキルを積極的に学ぶ姿勢も大切です。現場の実務だけでなく、経営的な視点や数字に強くなることで、料理長としての適性をアピールできます。
場合によっては、料理長への昇格を視野に入れた転職も選択肢となります。特に小規模な店舗や新店舗では、スーシェフ経験者を料理長として採用するケースも少なくありません。
海外での勤務経験を活かす
キャリアアップの選択肢として、海外での勤務経験も有効です。特にフランスやイタリアなど、料理の本場での経験は、帰国後の市場価値を大きく高めることができます。
海外の一流レストランでの経験は、技術面でのスキルアップだけでなく、異なる食文化や経営スタイルに触れる貴重な機会となります。語学力や国際感覚も身につき、帰国後は外資系ホテルや高級レストランでの採用に有利に働くでしょう。
また、海外経験をもつシェフは逆輸入的な価値が認められ、年収交渉でも有利な立場に立てることが多いです。特に外国人観光客向けのレストランや、本格的な各国料理を提供する店舗では、海外経験者の需要は高まっています。

まとめ
スーシェフは、料理長を支える縁の下の力持ちであると同時に、将来の料理長候補として重要なキャリアステージでもあります。
年収は業態や店舗によって大きく異なりますが、一般的には300万円〜600万円の範囲であり、経験やスキル、勤務先によって上下します。
高い調理技術はもちろん、現場マネジメント力やコミュニケーション能力など、多面的なスキルが求められるポジションだからこそ、自分の強みを活かした働き方を見つけることが大切です。
年収アップを目指すなら、高級店やホテルなど待遇の良い職場への転職、料理長への昇格、海外経験の活用などが有効な戦略となるでしょう。
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