テレビや雑誌で見かける華やかな料理人の姿に憧れる方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際の料理人の仕事は想像以上に多岐にわたり、単に料理を作るだけではありません。
早朝からの仕込みや深夜までの片付け、食材管理や衛生管理まで、目に見えない努力や準備が毎日の美味しい料理を支えています。
料理人の世界は、一般的には厳しいと言われることもありますが、その分だけやりがいや成長の機会も豊富です。腕を磨くにつれて活躍の場は広がり、自分のセンスや個性を表現できる創造的な職業でもあります。
この記事では、料理人の一日の流れから基本的な仕事内容、役職や職場による違いまで、料理人の仕事の全体像を詳しく解説します。
料理人を目指している方はもちろん、転職を考えている方や、単純に料理人の仕事に興味がある方にも役立つ情報をお届けします。
料理人の仕事内容を1日の流れに沿って解説

料理人の一日は、お客様が来店する何時間も前から始まっています。
早朝からの準備が、夜の満足いく食事を支えているのです。一般的な料理人の一日の流れを見ていきましょう。
- 出勤して仕込みをする
- ランチまたはディナータイムの対応
- 営業終了後の片付けと翌日の仕込み
出勤して仕込みをする
多くの料理人は、営業開始の数時間前に出勤します。
まずおこなうのが、その日使用する食材の下準備『仕込み』です。野菜を切る、肉や魚をさばく、だしを取る、ソースを作るなど、提供する料理に必要な準備を整えます。
この段階でおこなう作業の質が、あとの料理の味や提供スピードに大きく影響します。限られた時間内で効率よく、かつ丁寧に仕込みをおこなうことが、プロの料理人の基本スキルです。
段取り力と正確さが特に求められる時間帯といえるでしょう。
ランチまたはディナータイムの対応
営業時間になると、いよいよ調理の本番です。注文に合わせて料理を作り、タイミングを見計らって提供します。職場やポジションによって担当する業務は異なりますが、基本的には調理を担当します。
見習いの場合は、調理補助だけでなくホールスタッフとして料理の配膳や説明を担当することもあります。
経験を積むにつれて、任される範囲や責任が広がっていくのが一般的です。スピードと正確さ、チームワークが重要になる時間帯です。
営業終了後の片付けと翌日の仕込み
営業が終了すると、清掃と片付けが始まります。厨房の掃除、器具の洗浄と整理、冷蔵庫の整理などをおこなおます。また、翌日に必要な仕込みの一部を前倒しでおこなうこともあります。
これは一般的な料理人の一日の流れですが、実際には職場、役職、料理のジャンルによっても大きく異なります。
それぞれの違いについては、このあと詳しく紹介します。
料理人の基本的な仕事内容とは?

料理人は食材の管理から衛生管理まで、幅広い業務を担当しています。
基本的な仕事内容を詳しく見ていきましょう。
- 食材の仕入れや在庫管理
- 仕込み
- 調理・盛り付け・提供
- 接客
- 衛生管理・清掃・器具の管理
食材の仕入れや在庫管理
料理人、特に上級職になると、食材の仕入れや在庫管理も重要な仕事です。
季節の良い食材を見極め、適切な量を適正価格で仕入れる目利き力が求められます。また、食材を無駄にしないよう、適切な保存方法と使用計画を立てることも欠かせません。
特に和食など、旬の食材を重視する料理ジャンルでは、市場に足を運んで直接食材を選ぶこともあります。
料理人としての腕が上がるにつれ、食材の選定に関わる機会も増えていくでしょう。
仕込み
仕込みとは、調理の準備段階に当たる作業です。
野菜を切る、肉や魚をさばく、だしを取る、ソースを作るなど、実際の調理をスムーズにおこなうための下準備全般を指します。
特に和食や中華料理では、この仕込みに多くの時間と手間をかけます。だしの取り方一つとっても、その店の味を決める重要なポイントとなるため、妥協のない丁寧さが求められます。
新人料理人は、まずこの仕込み作業から徹底的に学ぶことが多いです。
調理・盛り付け・提供
料理人の仕事の中心である調理は、食材に火を通す、味付けをする、盛り付けるなどの工程を含みます。
注文を受けてからの限られた時間内で、最高の状態で料理を提供するためのスキルと経験が必要です。
また、盛り付けは料理の「顔」ともいえる部分。特に高級店では、見た目の美しさにもこだわりを持ち、季節感や色彩バランスを考慮した芸術的な盛り付けが求められることもあります。
料理人の個性や感性が最も表れる部分でもあります。
接客
料理人は厨房のなかだけで働くと思われがちですが、場合によっては接客も重要な仕事です。特に見習いの場合は、ホールスタッフとして料理の説明や配膳を担当することも多いでしょう。
また、高級店ほどシェフ自ら食材や料理について説明する機会が増えます。
例えば、銀座のビストロなどではオープンキッチンでシェフが目の前で盛り付けをおこない、お客様に産地やこだわりを説明することもあります。
寿司店や和食のカウンター席でも、職人と客の会話は重要な要素です。

衛生管理・清掃・器具の管理
食を扱う仕事として、衛生管理は最も重要な責任の一つです。調理場の清掃、食材の適切な保存、手洗いの徹底など、日々の地道な取り組みが食の安全を支えています。
また、包丁などの調理器具の管理も欠かせません。特に和食の世界では、包丁は料理人の命とも言われ、毎日の手入れが欠かせません。
清潔で整理された厨房を維持することは、効率的な調理と安全な食の提供の基本となります。
料理人の役職ごとの仕事内容

料理人には厳格な役職制度があり、経験や技術に応じて担当する業務も変わります。
見習いから総料理長まで、それぞれの立場での仕事内容を見ていきましょう。
- 見習い・新人:基礎技術の習得と下働き
- 中堅クラス:現場をまわす即戦力
- 料理長:チーム管理とメニュー開発
- 総料理長・オーナーシェフ:全体統括と経営視点
見習い・新人:基礎技術の習得と下働き
見習い・新人料理人の主な仕事は、基礎技術の習得と下働きです。
食材の下処理、洗い場、厨房の清掃など、裏方の仕事が中心となります。包丁の使い方、火加減、盛り付けの基礎などを学ぶ重要な時期です。
料理のジャンルによって教え方も異なります。中華や洋食は分業制で、見習いはひたすら掃除や下ごしらえだけをすることもあります。
一方、和食は一通り体験させる方法が多いとされています。ホールを担当して料理や接客の知識を身につけることも、この段階での重要な学びです。
中堅クラス:現場をまわす即戦力
中堅クラスになると、一通りの調理ができる即戦力としての活躍が期待されます。焼き場・煮方・揚げ場などの持ち場を担当し、実際の調理の中心を担います。
食材の管理、後輩の指導、スピードとクオリティの両立が求められる立場です。
メニューを一部任されることもあり、味の責任も発生します。チームワークと柔軟な対応力が鍵となり、特に繁忙時には秒単位の判断が必要です。
後輩への指導も任され始め、技術だけでなく教え方も学ぶ時期といえるでしょう。
この段階で多くの経験を積むことが、次のステップに進むための重要な糧となります。現場の動かし方から、クリエイティブな料理のアイデアまで、幅広いスキルを磨く時期です。

料理長:チーム管理とメニュー開発
料理長は厨房全体のマネジメントが主な業務となります。人員配置・仕入れ・原価管理もおこなお、新メニューの開発やイベント対応なども任されます。
アレルギーや宗教、ベジタリアンなどへの対応力も問われるポジションです。
味の最終責任者であると同時に、働きやすい職場を作る責任も担います。洋食ではスーシェフと呼ばれ、全体の指揮官的な役割を果たします。
盛り付けや味の最終チェックなどを担当し、高級レストランではその日のメニューを決定して全体に共有するのも料理長の役割です。
料理の技術だけでなく、経営的な視点やリーダーシップも求められる立場です。スタッフの育成と店の味の継承という、重要な使命を担っています。
総料理長・オーナーシェフ:全体統括と経営視点
総料理長やオーナーシェフは、複数店舗の料理長を統括する立場、または経営も担う立場です。ブランド戦略、食材のトレーサビリティ確保、業績管理などの経営的視点も必要となります。
店舗全体のブランディングや、メディア対応、SNS発信をおこなうこともあります。
海外展開やフードイベント出演など、料理人としての枠を超えた活躍が求められることも増えてきています。
料理の技術と経営センスを兼ね備え、業界全体に影響力を持つ存在としての役割も果たします。
自分の料理哲学を広め、次世代の料理人を育てる責任も担っているのです。

料理人の仕事は職場によっても変わる!職場別業務内容

料理人の仕事内容は、働く場所によっても大きく異なります。
レストランから病院、ケータリングまで、さまざまな職場での料理人の仕事を紹介します。
- レストランやホテル勤務の料理人の場合
- 病院や福祉施設・学校の料理人の場合
- ブライダルや仕出しの料理人の場合
- ケータリングやフードトラックの場合
レストランやホテル勤務の料理人の場合
レストランやホテルでは、専門ジャンルごとに分かれた業務を担当することが多いです。
具体的な業務内容としては、食材の発注・検品作業から始まり、各セクション別の仕込み作業(野菜のカット、ソースの準備、肉や魚の下処理)をおこないます。
営業時間中はオーダーに合わせた調理(火入れ、味付け、盛り付け)が中心となります。
また、定期的なメニュー開発やレシピ考案も重要な業務で、季節メニューの提案や新メニューのテスト調理などもおこいます。厨房内の衛生管理も欠かせない仕事で、調理器具の消毒、食材の温度管理、日付管理などを徹底します。
ジャンルによっても業務内容は異なり、和食では魚のさばきや出汁取り、西洋料理では担当セクション(肉・魚・前菜等)の専門調理、中華料理では強火での炒め調理や点心製作、製菓では生地作りや焼成作業が中心となります。

病院や福祉施設・学校の料理人の場合
病院や福祉施設、学校の料理人は、栄養士が作成した献立に基づく大量調理が主な業務です。
50〜数百食分の一括調理をおこない、同時にアレルギー対応食、治療食、嚥下食などの個別対応食も準備します。
決められた時間内での配膳準備が必須で、時間管理が特に重要となります。また、食の安全を守るため、厳格な衛生管理業務(検食の保存、温度記録、消毒作業)にも力を入れます。
大型調理器具の洗浄・消毒や、大量発注の管理、コスト計算なども料理人の仕事です。効率的な作業のために、調理作業工程表の作成と実行も重要な業務となります。
限られた時間内に大量の食事を安全に提供するため、チームでの連携と正確な作業が求められます。
ブライダルや仕出しの料理人の場合
ブライダルや仕出し料理の現場では、イベント内容に合わせたメニュープランニングから業務が始まります。
人数・予算に応じた提案をおこない、決定したら前日からの下準備や一括調理などの事前仕込み作業に入ります。
盛り付けや演出の準備も重要で、器の選定やテーブルコーディネートも業務に含まれます。タイミングを計算した料理の完成・提供が特に重要で、温かい料理は最後に仕上げるなどの工夫をします。
持ち運びに耐える料理の工夫(冷めても味が落ちない調理法)も必要です。現場での最終仕上げ作業やサービススタッフへの指示出し、食材・調理器具などの搬入・搬出作業も料理人の重要な仕事となります。
特別な日の料理を担当するという責任感と緊張感のなかで業務を遂行します。

ケータリングやフードトラックの場合
ケータリングやフードトラックの料理人は、限られたスペースでの調理技術が特に求められます。
狭い厨房での効率的な動きを習得し、現地調達食材の加工・調理などもおこないます。
メニュー考案や食材発注も自ら担当することが多く、コスト計算やイベント規模に合わせた計画立案もします。調理と販売の両立が特徴的で、お客様対応をしながら調理を進める必要があります。
移動調理設備のセッティング・撤収や、移動中の温度管理など特殊な食品衛生管理も重要な業務です。
また、近年ではSNSなどの情報発信・宣伝活動(出店情報の告知、料理写真の撮影・投稿)も料理人の仕事として増えてきています。
自分のアイデアを直接形にでき、お客様の反応をすぐに見られるという魅力がある一方、天候や集客状況に左右される不安定さもあります。
料理人の仕事に向いている人・向いていない人の特徴

最後に、料理人の仕事に向いている人とそうでない人の特徴を紹介します。
- 料理人の仕事に向いている人の特徴
- 料理人に向いていない人の特徴
料理人の仕事に向いている人の特徴
- 手先が器用
- 食べることや作ることが好き
- 体力と精神力に自信がある
- 素直に指示を受け入れられる
- 縁の下の力持ちタイプ
手先が器用な人は、包丁技術や繊細な盛り付けなど料理人に必要な技能を習得しやすいでしょう。
また食べることや作ることが好きな人は、料理への情熱があり、長く続ける原動力になります。体力と精神力に自信がある人は、長時間の立ち仕事や暑い厨房での作業、繁忙期の重労働に耐えられます。
素直に指示を受け入れられる人は、特に修行時代に基本をしっかり学び、技術を吸収していくことができます。
最後の縁の下の力持ちタイプで人の喜びが自分の喜びになる人は、直接感謝されない裏方の仕事でもやりがいを感じることができます。
料理人に向いていない人の特徴
- 長時間労働や体力的な仕事が苦手
- 自己流にこだわりすぎて指導を受け入れにくい
- 飽きやすく、同じ作業を継続できない
- 人と協力するのが苦手
- ミスを人のせいにしがち
長時間労働や体力的な仕事が苦手な人は、料理人の基本的な労働環境に適応しにくいでしょう。
自己流にこだわりすぎて指導を受け入れにくい人、飽きやすく同じ作業を継続できない人は、新人時代の単調な作業に耐えられないかもしれません。
また人と協力するのが苦手で単独行動が好きな人は、チームで動く厨房では苦労することが多いでしょう。
最後にミスを人のせいにしがちなタイプの人は成長が難しく、料理人を続けても成長を実感できないことからその道を選んだことを後悔するかもしれません。

まとめ
料理人の仕事は、表舞台で見られる華やかな調理の姿だけでなく、早朝からの仕込みや深夜までの片付け、食材管理や衛生管理まで、多岐にわたる責任と努力で成り立っています。
一日の流れや基本的な業務内容を見ても、その奥深さと専門性は明らかでしょう。
また、見習いから総料理長まで役職によって仕事内容は大きく変わり、働く場所やジャンルによっても求められるスキルや役割は異なります。
どの立場でも共通しているのは、食を通じて人に喜びを提供するという根本的な使命です。
\年収600万円を超える求人を多数紹介/

