食品メーカーの営業職といえば「きつい」「大変」といったイメージをもつ方も多いのではないでしょうか。
営業目標の達成に向けた日々の奔走、取引先との粘り強い交渉、社内での調整など、確かに厳しい側面は存在します。しかし、その苦労だけが全てではありません。
私たちの食卓を支える製品に携わる喜び、自らの提案が売上として実を結ぶ達成感など、食品メーカー営業ならではの魅力も豊富にあるのです。
本記事では、食品メーカー営業の仕事内容から「きつい」と言われる理由、一方で感じられるやりがい、さらには長く続けるためのコツをお伝えします。キャリアの転換点にいる方や、営業職で壁にぶつかっている方に、新たな視点をお届けします。
食品メーカー営業の仕事内容とは

食品メーカー営業は、自社で製造した食品・飲料を小売店や飲食店、商社などに販売する仕事です。
具体的には、新商品の提案、販促企画の立案と実行、数値管理、取引先との商談、納品管理、クレーム対応など、幅広い業務を担当します。
営業先は大きく分けて二つに分類されます。
一つ目はスーパーやコンビニエンスストアなどの量販店で、大量の商品を扱うため、売り場確保の交渉や販促企画の提案が主な業務となります。
二つ目は飲食店やホテルなどの業務用市場で、個別のニーズに合わせた商品提案や、メニュー開発のサポートなどもおこないます。
日々の業務の流れとしては、朝は納品の立ち会いや在庫確認からスタートし、日中は取引先への訪問や商談をおこない、夕方以降は社内での数値管理や提案資料の作成といった事務作業をおこなうのが一般的です。
新商品の発売時期や大型商戦の時期には、通常の業務に加えて試食販売のサポートや売り場づくりなどもおこないます。
「食品メーカーの営業がきつい」と言われる主な理由

食品メーカー営業が「きつい」と言われる理由はさまざまですが、特に次の五つが代表的です。
営業ノルマやプレッシャーの大きさ、取引先対応の難しさ、社内調整や事務作業の多さ、拘束時間の長さ、そして繁忙期による負荷の波について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 営業ノルマやプレッシャーが大きい
- 取引先対応がハード
- 社内調整・資料作成などの事務仕事も多い
- 拘束時間が長く休みづらい
- 繁忙期・時期による負荷の波が激しい
営業ノルマやプレッシャーが大きい
食品メーカー営業の最も大きな負担となるのが、営業ノルマによるプレッシャーです。売上目標や新商品の配荷率目標、販促キャンペーンの実施率など、さまざまな数値目標が課されます。
これらの達成度は直接的に評価や賞与に反映されるため、常に数字を意識しながら働く必要があります。
特に月末や期末になると、目標達成に向けて社内からの追い込みが厳しくなり、精神的に疲弊しやすい状況に陥ります。
営業成績が思わしくない場合は、上司からの詰問や対策会議などが頻繁におこなわれ、ストレスが増大します。また、同僚との競争も激しく、社内での順位付けや成績の公開などがプレッシャーに拍車をかける要因となっています。
取引先対応がハード
取引先との関係構築は営業の重要な仕事ですが、同時に最も苦労する部分でもあります。小売店のバイヤーは経験豊富で交渉力も高く、ときには理不尽な要求をされることもあります。
例えば、急な価格の値下げ要求や、売れ残り商品の返品対応、追加販促費用の負担など、厳しい条件提示は日常茶飯事です。
納期遅延や在庫切れなどのトラブルが発生した際には、迅速かつ適切な対応が求められます。クレームへの対応は特に神経を使う作業で、取引先の怒りをなだめながら解決策を提示するという難しい局面も少なくありません。
取引先によっては深夜や早朝の対応を要求されることもあり、外部との摩擦による疲労が蓄積しやすい環境といえます。
社内調整・資料作成などの事務仕事も多い
営業職といえば外回りのイメージが強いですが、実際には社内調整や事務作業も大きな負担となっています。新商品の導入や販促企画を実現するためには、製造部門や物流部門、開発部門など、さまざまな部署との調整が必要です。
各部署の事情や制約を理解しながら、現実的な提案に落とし込む作業は容易ではありません。
また、提案書や見積書、商談報告書、販促計画書など、各種資料の作成も営業の重要な仕事です。特に大口取引先への提案では、数十ページにおよぶ詳細な資料作成が求められることもあります。
さらに、会議用の資料作成や日報・週報の作成など、日々の事務作業に追われることも珍しくありません。
拘束時間が長く休みづらい
食品メーカー営業の拘束時間は一般的に長めです。早朝の納品立ち会いから始まり、日中は取引先回り、夕方以降は社内で事務作業という流れが基本となります。
小売店の営業時間に合わせた活動が必要なため、早朝出勤や夜遅くまでの残業が常態化している職場も少なくありません。
また、取引先の休日営業に合わせて土日出勤することもあり、代休が取りづらい環境にある企業も存在します。
特に新商品の発売時期や年末商戦などの繁忙期には、休日返上での業務が当たり前となり、ワークライフバランスの維持が難しくなります。家族との時間や自分の趣味に充てる時間が限られるため、プライベートの充実を重視する人にとっては厳しい環境といえるでしょう。

繁忙期・時期による負荷の波が激しい
食品業界には明確な繁忙期があり、業務負荷に大きな波があります。夏のドリンク商戦や年末のギフト商戦など、特定の時期に業務が集中するため、繁忙期には通常の2〜3倍の作業量をこなさなければなりません。
この時期は連日の残業や休日出勤が当たり前となり、心身ともに疲労が蓄積します。
一方、閑散期には比較的余裕が生まれますが、繁忙期との落差が激しすぎるため、かえって体調を崩す人も少なくありません。また、閑散期に次の繁忙期に向けた準備を進める必要があるため、完全に気を抜くことができないのも特徴です。
この極端な負荷の波は、長期的なキャリア形成を考えるうえでの課題となっています。

きついだけじゃない?食品営業のやりがい

食品メーカー営業には確かに厳しい面もありますが、それを上回る魅力ややりがいも存在します。
自分の提案が売上につながる達成感、新商品を世に送り出す喜び、取引先との信頼関係の構築など、この仕事ならではの醍醐味について、詳しくお伝えします。
- 提案が売上につながったときの達成感
- 商品を世に出す喜び
- 関係構築の面白さ
提案が売上につながったときの達成感
営業職の最大の喜びは、自分の提案が実際の売上アップに貢献できたときです。例えば、新商品の売り場を拡大してもらった結果、予想以上の売れ行きを記録したり、自ら企画した販促キャンペーンが成功して売上目標を大きく上回ったりしたときの達成感は格別です。
さらに、こうした成功体験を通じて取引先からの信頼を獲得することができます。「あなたの提案は当たる」と評価されるようになれば、より大きな商談のチャンスが巡ってきます。
過去の成功が次の提案への自信につながり、それがまた新たな成功を生み出すという好循環が生まれるのも、この仕事の魅力といえるでしょう。
商品を世に出す喜び
食品メーカー営業は、新商品の上市プロセスに深く関われる点も大きなやりがいです。マーケティング部門や開発部門と連携しながら、市場のニーズや取引先の要望を商品開発にフィードバックする役割を担います。
自分が関わった商品が実際に店頭に並び、消費者の手に渡る瞬間は、何物にも代えがたい喜びを感じることができます。
また、店頭で実際に商品を手に取る消費者の様子を観察したり、SNSなどで商品に対する感想を見たりすることで、消費者の声が直接返ってくるのも食品営業ならではの醍醐味です。
「おいしかった」「また買いたい」という声を聞けば、日々の苦労も報われる思いがするでしょう。
関係構築の面白さ
取引先との関係構築は大変な面もありますが、同時に人間関係を深める面白さも感じられます。はじめは厳しかったバイヤーが、信頼関係を築くにつれて親身に相談に乗ってくれるようになったり、困ったときに助けてくれたりすることも珍しくありません。
取引先から「あなたに頼みたい」と指名されるようになれば、それは営業としての大きな成功といえます。
相手の期待に応え、さらに期待を超える提案ができたときの充実感は、他の仕事では味わえない特別なものです。長年かけて築いた信頼関係は、営業としての財産となり、キャリアを通じての強みとなっていきます。

食品メーカー営業に向いている人・向いていない人

食品メーカー営業には向き不向きがはっきりしているため、自分の適性を見極めることが重要です。
ここでは、この仕事に向いている人と向いていない人の特徴を、具体例を交えながら解説していきます。
自分がどちらに当てはまるか、客観的に考えてみましょう。
- 食品メーカー営業に向いている人
- 食品メーカー営業に向いていない人
食品メーカー営業に向いている人
- 相手目線で行動できる
- 数字目標を前向きにとらえられる
- 自社商品に愛着を持てる
- 柔軟に動ける
- 関係づくりを楽しめる
食品メーカー営業に向いているのは、相手の立場に立って考えられる人です。取引先のニーズや課題を理解し、それに合わせた提案ができることが重要です。
また、数字目標をプレッシャーではなく達成すべきチャレンジとして前向きに捉えられる姿勢も大切です。
自社商品に対する愛着も欠かせません。商品の良さを心から信じ、情熱を持って提案できる人は成果を上げやすいでしょう。
さらに、予期せぬ事態にも臨機応変に対応できる柔軟性や、人との関係性を築くことを楽しめる資質も、この仕事で成功するための重要な要素となります。
食品メーカー営業に向いていない人
- 数字や評価制度でプレッシャーを感じやすい
- 定時で帰りたい
- 対人ストレスに弱い
- 変化に弱い
- 自己管理
- 報連相が苦手
一方、数字や評価に過度なプレッシャーを感じやすい人は、食品メーカー営業の仕事を続けるのが難しいかもしれません。常に目標達成を求められる環境では、ストレスが蓄積しやすくなります。
また、定時できっちり帰りたい人や、対人関係のストレスに弱い人にとっても厳しい職場環境といえるでしょう。
変化の多い業界特性上、新商品の導入や販促企画の変更など、計画通りに進まないことも多々あります。そうした変化を受け入れられない人や、自己管理や報告・連絡・相談が苦手な人は、チームでの仕事をスムーズに進めることが難しくなります。
これらの特徴に複数当てはまる場合は、他の職種を検討することも一つの選択肢です。
辞めたいと感じたときの選択肢

食品メーカー営業の仕事を続けるなかで、「もう限界かもしれない」と感じることがあるかもしれません。
そんなときは、四つの選択肢があることを知っておきましょう。社内異動、同業他社への転職、食品業界内での別職種への転身、そして他業界への転職です。
それぞれのメリットとポイントを解説します。
- 社内異動で営業以外の職種を目指す
- 同業他社に転職して環境を変える
- 食品業界で営業以外のキャリアを選ぶ
- 他業界にスキルを活かして転職する
社内異動で営業以外の職種を目指す
営業職のきつさに耐えかねたときは、まず社内異動を検討してみましょう。食品メーカーには、商品開発、マーケティング、生産管理、品質管理、物流、人事、経理など、さまざまな部門があります。
営業経験を活かせる部署も多く、例えばマーケティング部門では市場の実態を知る元営業職が重宝されます。
異動を希望する際は、単に「営業がきつい」というだけでなく、異動先でどのように貢献できるかを具体的に伝えることが重要です。
自己啓発として関連資格を取得したり、異動希望先の業務に関する知識を積極的に学んだりすることで、希望が通りやすくなります。

同業他社に転職して環境を変える
同じ食品メーカーでも、企業文化や営業スタイルは大きく異なります。大手企業から中堅企業へ、あるいはその逆の転職で、働きやすさが劇的に改善されるケースも少なくありません。
特に直属の上司や営業部門の雰囲気が変わるだけで、仕事のストレスが大幅に軽減されることがあります。
転職を検討する際は、企業規模や商品カテゴリー、営業エリアなどの条件だけでなく、社風や評価制度、ワークライフバランスについてもしっかりと確認しましょう。
転職エージェントを活用すれば、内部事情に詳しい担当者から具体的な情報を得ることができます。
食品業界で営業以外のキャリアを選ぶ
食品業界で培った知識や経験を活かしつつ、営業以外の職種にチャレンジするのも良い選択肢です。物流部門では商品の流通を管理し、製造部門では生産計画や工程管理を担当します。品質管理部門では商品の安全性を守る重要な役割を果たします。
営業経験者は市場ニーズや取引先の要望を理解しているため、どの部門でも活躍できる可能性があります。
特に顧客視点を持った人材は重宝されるため、異職種への転換もスムーズに進みやすいでしょう。
他業界にスキルを活かして転職する
食品メーカー営業で培った対人スキルや提案力は、他業界でも十分に通用します。医療機器や化粧品、日用品など、消費財を扱う業界では特に評価が高くなります。また、法人営業の経験を活かしてIT業界やコンサルティング業界に転職するケースも増えています。
業界を変える場合は、自分のスキルや経験が新しい環境でどのように活かせるかを整理することが重要です。数値管理能力や課題解決力、プレゼンテーション能力など、普遍的なビジネススキルをアピールすることで、異業種転職の成功率が高まります。
食品営業で働き続けるための工夫

食品メーカー営業として長く働き続けるためには、仕事のやり方や心構えの工夫が必要です。
ここでは、タスク管理や時間管理の徹底、目標設定への向き合い方、メンタルケアと休息の確保、そして頼れる人間関係の構築について、具体的な方法を紹介します。
- タスク管理・時間管理を徹底する
- 無理な目標設定には自分の意見を出す
- メンタルケアと休息の確保
- 頼れる先輩・仲間との関係構築
タスク管理・時間管理を徹底する
営業として成果を上げつつ、自分の時間を確保するにはタスク管理と時間管理が鍵となります。スケジュール帳やタスク管理アプリを活用して、日々の業務を可視化しましょう。重要度と緊急度のマトリクスで優先順位をつけ、効率的に仕事を進めることが大切です。
また、移動時間を有効活用することも重要です。車移動中は音声メモで商談内容を整理したり、電車移動中はメールチェックや資料作成を進めたりと、スキマ時間を最大限に活用することで、残業時間を減らすことができます。
無理な目標設定には自分の意見を出す
上司から提示される目標が現実的でない場合は、論理的に意見を述べることも大切です。過去の実績データや市場環境の分析結果を示しながら、なぜその目標が達成困難なのかを冷静に説明しましょう。代替案を提示することで、建設的な議論につなげることができます。
ポイントは感情的にならずに意見を伝えることです。「無理です」「できません」という否定的な言葉ではなく、「このような条件があれば達成可能です」「この部分を調整すれば実現できます」といった前向きな表現を心がけましょう。
上司との信頼関係を築きながら、現実的な目標設定を目指すことが重要です。
メンタルケアと休息の確保
営業職のストレスと向き合うには、意識的なメンタルケアが欠かせません。まずは十分な睡眠時間を確保し、休日は仕事から完全に離れる時間を作りましょう。趣味やスポーツ、瞑想など、自分に合ったストレス解消法を見つけることも大切です。
また、仕事の悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人に話す習慣をつけましょう。同僚や友人、家族など、話を聞いてくれる人がいるだけで心の負担は軽くなります。必要に応じて産業医やカウンセラーなどの専門家に相談することも検討しましょう。

頼れる先輩・仲間との関係構築
営業の仕事を長く続けるには、頼れる先輩や仲間の存在が不可欠です。困ったときに相談できる関係性を普段から築いておくことで、精神的な安定につながります。また、成功事例や失敗談を共有することで、効率的にノウハウを蓄積できます。
社内の勉強会や懇親会に積極的に参加し、他部署の人とも交流を深めましょう。情報共有のネットワークを広げることで、営業活動に役立つ情報が自然と集まってきます。
一人で抱え込まず、チームで支え合う環境を作ることが、長期的なキャリア形成につながります。
まとめ
食品メーカー営業は確かに「きつい」面もありますが、提案が売上につながる達成感や商品を世に送り出す喜びなど、他では得られないやりがいも多い仕事です。
数字目標のプレッシャーや取引先対応の難しさはありますが、タスク管理の徹底やメンタルケア、信頼できる仲間づくりなどの工夫次第で、長く続けることも可能です。
もし現状に限界を感じているなら、社内異動や同業他社への転職、異業種への挑戦など、さまざまな選択肢があることを忘れないでください。
自分の適性や目指すキャリアに合わせて、最適な道を選びましょう。
\年収600万円を超える求人を多数紹介/

